【ヘルベチカステップス】
なんとキヲクの主人公：タロウ役の正木蒼二さんが出演してます。
先日多摩シネマフォーラムと言う映画祭でキヲクドロボウとセットで上映されたのでこれは見るしかない！とばかしに見てきました。

結果。。。お〜？面白かったよ！
なんと言うか構成も上手いしストーリーもなかなかに面白い。
さすがにDVの画質なので映像にはやや難がありますが、それでも最後まで面白く見られる物語の運び方には自分自身学ぶべきところが多くあるなぁと思いました。
正木さんも良い味でてるし、なんかほんわかした全体の作品の雰囲気も楽しいっすね。

印象に残っているシーンがいくつかありますがそのうちの1つについて。。
主人公が自転車で夜の桜並木をゆっくり走るシーン。
まあDVであまり照明もちゃんと使えなかったらしく肝心の桜が全然綺麗に撮れてないわけですよ。
それなのになぜか不思議と幻想的に美しいシーンになっている。
その手前のシーンの内容や音楽、主人公の心境が、あまり綺麗に撮れていない桜でも美しく見せてしまうだけの演出になっているのにはちょっと驚きました。

僕は現実的な人間なので映像がホームビデオっぽかった時点で普通ならもうゲンナリなんですが、その辺を物語りと演出でカバーしちゃうのは恐れいりました。
DVでもちゃんと構成ができていてストーリーが面白ければこれだけの作品ができるんですな。

モチーフも面白いし、人間関係も上手く描かれていて見たあと気分が良い映画です。

なにしろキャッチコピーが良い。
「才能があって貧乏な人なんていっぱいいますからね。」
グッときます。

【アリーナロマンス】
こちらは厳密には自主ではありませんが、
トリウッドでキヲクドロボウの前に公開されている作品です。
え〜と最終日に行ってきました。

そして結果・・・。お〜〜〜！？面白いよ！

アイドルオタクの追っかけ＋恋愛が合わさってちょいと甘酸っぱい感じのお話です。

まずアイドルオタクとか良くわからないんでちょっと抵抗もありつつも、、、。
物語が始まってすぐに作品に引き込まれてしまいます。アイドルではなかれど、自分自身も色々なジャンルに幅広くオタクなのであっと言うまに主人公グループに共感を持ました。いや、たぶん人は誰しもどこかにオタク的要素を持っているんだと思いますが、そういう部分をさらけ出せる人は多くないのかも。そしてそれをさらけ出すのってきっと楽しいんだろうな。と、オタクになりきれない人にもきっとアピールすること請け合いです。

恋愛の要素もあります。多少「そんなこと起こり得ねーよ」と感じるところもありますがそれは映画の世界なんだから楽しんでしまうのが正解でしょう。

物語が進むにつれ、観客の心の中には「恋愛に恋する」かつての自分が蘇ってくるわけですが、その辺のストーリーテリングは実に良くできています。

映像もDVで撮っているにしてはかなり綺麗で質感も出ています。
専門学校全面協力のもとに撮ったそうですが、全編を通して画角、カメラワークがしっかりしています。多少露出オーバーになってしまったりで気になる部分もありましたが、DVでこれだけ撮れている作品はそう多くないんじゃないでしょうか。

しかも監督の板垣さんは34歳でリストラ、35歳で映画専門学校に入り本作品を完成させると言う異例の経歴の持ち主。パンフレットを見てみると貧乏苦労話とか出てきて思わず共感ですよ。

夢を追いかけるって何かをあきらめなきゃならなかったりするのでね。

その最たる者が「安定」。
会社に勤めて、マジメに仕事をしていればそれなりの生活が送れる訳で、、、映画を撮ろうなんてマヌケな行為はそれらを全部投げ捨てることで、、。オレは映画を撮るんだー！なんて言ってはみても現実問題日々の生活があるわけで。

今日のメシを食わないと生きていけないのです。

そう言う意味では社会と言うのは残酷なもので、夢を追いかける人にはあまりにも冷たいのがリアリティー。

夢を追いかける＝仕事をする時間がない＝金がない＝生活できない＝夢をあきらめざるを得ない

生活のため仕事をする＝自由な時間がとれない＝夢なんてあきらめざるを得ない

そういった状況を少しでも変えて行くためには面白い作品を作って社会に見せつけてやるしかないんだろうと思います。

正直な話、自主制作映画はまだまだ洗練とはほどとおい所にいます。
現状ではインディーズ音楽の様な市民権を得ていません。
それもそのはず、つまらない作品の方が圧倒的に多い訳ですから。

しかし上記２作品に見られるように、面白い自主制作映画も確実に存在するのだと言うことを再認識しました。

誰でもCDが作れる時代になって、質の高いインディーズレーベルの音楽がたくさん出てきたように、自主制作のクオリティーも高くなっていけば、やがては日本映画全体の活性化につながることは間違いないと信じています。

などという、でっかいビジョンが見えてきますね。そういうのをなんか、「ヘルベチカステップス」と「アリーナロマンス」は思い出させてくれました。近い世代の監督さんたちがこういう作品を作ったんだなって言うのも嬉しいですねぇ。

えっと、「アリーナロマンス」は今日（11/23）までの上映、「ヘルベチカステップス」は11/21の上映なのでちと感想書くのが遅かったですね。。。しかし両作品とも近くDVD化されるはずですきっと。是非是非見てみてちょーだいね。

ハッキリ言って映画は接客業です。アーティスト気取りなだけじゃ面白い作品なんてできません。観客がどう感じるのか、そこを考えて作られた作品が、結果、面白い作品だと評価されるんだと思います。

そんな訳で僕と山岸の監督した「キヲクドロボウ」は明日から、11/24〜トリウッドにて公開です。
まあ期待よりも不安の方がでっかいですが・・・。

劇場で待ってるぜぃ！

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